飯豊連峰 二王子岳〜門内岳縦走(会山行 春山山行)
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5月4日18:00天気図 | 5月4日17:00衛星写真 | 5月5日06:00天気図 | 5月5日06:00衛星写真 |
気象庁HPより引用しました |
高気圧の南の縁を廻りこむ南西の風が強風を吹かせたのかな?
参加者 CL、JHφWJU(上條)さん、 SL、石井さん、渡辺(し)さん、諏方さん、安沢さん、榎本さん、JJφLTK(小林)さん、JJφLTQ
送り隊 JEφDAE(坂場)さん、JIφHNC(若月)さん
迎え隊 JGφOPL(高橋)さん、JFφGZF(小川)さん、宮下さん、中村さん
あれっ♪ JEφDAE(坂場)さん、浅間さん
入山地域 飯豊連峰前衛二王子岳(二王子神社より入山)〜飯豊連峰頼母木山(西俣ノ尾根経由川入下山)
入山期間 2006年5月3日〜5日
登山目的 平成18年度下越山岳会春山山行
天 候 5月3日 7.4℃〜13.3℃ 平均風速2.2m 北北西 晴れ
4日 5.9℃〜21.3℃ 平均風速2.3m 西南西 快晴
5日 12.3℃〜23.7℃ 平均風速4.0m 西南西 薄曇
以上、気象データは新潟市のものです。
ウインドプロファイラ 1km西の風11m 2km西南西の風21m 3km西の風17m 4km西の風17m(5月5日07:00 高田)
装備 春山テント泊標準、ピッケル・アイゼン・その他雪上登攀用具
輸送
5月3日
集合場所〜二王子神社
JEφDAE(坂場)さん、JIφHNC(若月)さん
5月5日
梅花皮荘〜集合場所
JGφOPL(高橋)さん、中村さん
GPSデータ
積算距離 36.4km
総上昇量 3,992m
最高標高 1,889m(扇の地紙)
今回の山行距離を考え、GPSLOGデータのLOGの取得を最低にしてあるため粗くなっているが、もう一ランク密にしてよかった。
はじめに
記録を読む方にお願いというか、どうしても本意を汲み取って頂きたい事があります。以下にコースタイムを記載しますが、今回は(私は初めてですが)これ以上望めない好条件で天候に恵まれ、経験豊かなCLが的確なルートファインディングを取りなおかつ、パーティー全員が無理なく歩けるようペース配分したものです。例年なら飯豊の猛烈な薮帯を通過するこのルートは多分、標準的な時間は無いと思います。従って一般登山道のようにコースタイムは参考にできません。今回、幸いにも飯豊の猛烈な薮の洗礼を受けずに通過できた私達の時間記録は目安にもならないと思いますので、その点はご理解下さい。
概略
下越山岳会 平成18年度春山々行が、平成18年月5月3日より5月5日までの日程で行われた。新発田鎮守の山とも言える、二王子岳から赤津山を経て二ツ峰を越えて門内岳で飯豊連峰の主稜線に至る雪と薮の飯豊らしいバリエーションルートだ。このルートに、64歳〜31歳まの男性6名、女性2名の8名で臨んだ。計画では二王子岳〜赤津山〜門内岳〜杁差岳〜イリ平尾根〜上の境〜西ノ俣沢を下り川入に到達するものであった。
コースタイム
5月3日 曇り後晴れ 西の風弱く
06:00 五十公野集合
06:15 五十公野発
06:40 二王子神社着(300m)
06:50 二王子神社発
08:00 一王子(723m) 雪1m位
08:47 独標(994.4m) 雪2,2m位
09:36 油こぼし下(1,198m)
10:30 二王子岳山頂(1,420.3m)
11:15 二本木山(1,424m)
11:25 二本木からの下降点(1,383m)
13:00 雷岳(1,130)
14:05 枡取倉山(1,193.9m)
16:15 ヤンゲン峰(1,245m) 泊まり場
16:40 テント設営
20:00 就寝
歩行距離 12.2km
5月4日 快晴〜晴れ 西の風後南西の風強まる
04:00 起床
06:10 ヤンゲン泊り場発
07:40 赤津山(1,408.1m)
08:00 大日岳の上に極小さな傘雲。強風か?
09:37 藤十郎山(1,331.5m)
11:00 標高が1,400m位から西風を感じ始める。
11:50 二ツ峰基部
13:00 二ツ峰頂上(1,642.4m)
13:45 鞍部(1,520m)
15:10 門内岳(1,887m) 南西の風が強い
15:57 扇の地紙(1,889m)
16:21 地神山(1,849.6m)頼母木川から吹き上げる風が強い
16:41 地神北峰(1,765m)
16:58 頼母木山(1,751m)
17:15 頼母木小屋(1,616m)サポート隊と合流
21:00 就寝
歩行距離15.9km
5月5日 曇り薄日も射す。一時極弱いとおり雨。 西の風強く標高を下げ風弱まる。
04:30 起床
06:35 小屋出発
07:00 頼母木山(1,751m)
07:29 三匹穴 (1,480m)
09:18 西俣ノ峰(1,023.2m)
09:30 単独者とスライド
09:51 JEφDAE(坂場)さん、浅間さんとスライド
10:00 800m付近からが風止んできた。
10:05 十文字(700m)でDAEさん、浅間さんを待つ
11:42 十文字発
12:30 川入着
14:00 川入発
15:30 五十公野着解散
歩行距離8.3km
記録
平成18年5月3日 曇り後晴れ 西よりの風弱く
朝起きてみるとあまり体調は良くない。まあ、具合が悪いというほどではないが何だかボ〜っとして食欲もイマひとつだが朝食を詰め込み会社の水槽の鰌・逆さ鯰に餌を放り込んで、コンビニ経由で集合場所へ向かう。装備を分担して、車2台に分乗して二王子神社へ向かう。
神社ではお祭りのようだった。記念撮影をして全員でCLから5円玉を貰い縦走の安全登山を祈願する。
すっかり春らしくなった登山道を夏道通しに進む。荷物が重いけれど、時々13kg〜16kg重量を調整して登っていたので我慢の範囲。CLが常に先導してペースを作っていく。天気予報は晴れ予報だが、山はそうはいかない。曇りで油こぼしから上はガス帯になっていた。時間の経過とともに徐々に空が明るくなる。
山頂につくと晴れて来たが飯豊の主稜はなかなか姿を見せてくれない。
山の会の「モンテローザ」の方々が冬期間外してあった、山頂の鐘を取り付けにきていた。モンテの方々と写真を撮ったりして山頂を離れ二本木山へ向かう。阿部さん、リンゴご馳走様でした。
二本木山まで単独の方が送りに付き合ってくれた。二王子を離れるにつれ雲がドンドン取れて青空が広がる。単独の方の見送りを受けて下降点の峰へ向かう。下降点の峰からこれから進む進路を目で確認するが、主稜線はまだ雲に上部を隠したままだ。雷岳の登りにかけて薮がでてくる。「ブッシュマン榎本」氏は「水を得た魚」よろしく、「薮を得た榎本」といった感じである。この人、薮になると本当に楽しそうだ。下越山岳会のブッシュマンの面目躍如。
雷岳まで来て、振り返ると二王子の雲もすっかり取れ白いベタ一面の山肌が眩しい。枡取倉山までくると二ツ峰が近くに見える。この辺の位置が北股岳と門内岳があまり離れず心地よい風景だ。途中、先般の二本木への偵察の際にお会いした方々と再会。休んでいる間に先行させていただく。しかし、その先にももう一つのトレースがある。単独者が先行しているようだ。
泊まり場に予定していたヤンゲン峰に近づくと赤津山が存在感を強めてくる。また、こちら側から見ると大石山、鉾立峰、杁差岳の感じが何だか朝日連峰を思わせる。ヤンゲン峰に着いて今日辿ってきた尾根を眺めると二王子岳が遠く離れた事に改めて気がつく。泊まり場をヤンゲン峰のピークに決める。
テントを張って、水を作り乾杯の準備に取りかかる。薮に取られたサングラスを探しに行った安沢さんがテントに戻り、乾杯。当にしみわたる旨さである。食担の手際よい段取りでつい酒が進んでしまう。
夕焼けに染まる北股岳が珍しく優しい顔を見せてくれた感じがした。カミさんと父にメールを入れたら送信できたのには驚いた。さらにLTKがLOM氏自宅の固定局との通信もできた。当初、二王子岳の影で厳しいと思っていたが判らないものである。この日楽しく呑み語らい20:00には就寝したが、既にこの時、「中国4000年の呪い:芽台(マオタイ)」の呪縛が解き放たれていた事をCLは知る由もなかった。
平成18年5月4日 快晴〜晴れ 西の風後南西の風強まる 稜線上では13m前後か
4時起床。夜中少し風が吹いたようでありあまり冷え込まなかった。8人が全員一つのテントで寝たのだが、それにしてもLTKがシェラフカバーだけで寝たのには驚いた。朝、水を作るのに少し余計な時間を取られる。これは反省点だ。食事を摂り食後のお茶も割愛し、テントを片付けていると、昨日の3人パーティーが先行していく。概ね10分遅れ位で出発する。
今日はクラストしているのでアイゼンを付けてサクサク歩く。夜中の風のおかげか低い標高のせいか判らないが、ガチガチに凍っているわけではないので、神経質にならずに歩きやすい。赤津山の登りで先行パーティーをパスさせていただく。赤津山のピークに立ち、ブッシュマン榎本氏はご満悦。何しろブッシュマン氏は三角点ハンター。昨日、枡取倉では安沢氏の協力を得て雪を堀って、三角点を探していたが結果見つからず。今日は幸先が良く、ニッコニッコである。雨量計測機のピークに行き眺望を楽しむ。大日岳の上に小さいが傘雲が見える。風が強いのだろう。ここも南西風が吹いている。蒜場山・焼峰はなかなか見ない角度からみるとまた趣が異なる。
赤津の下りで熊の足跡を見つける。まだまだ新しそうだ。万石・千石を通過する。大日岳・御西岳がドンドン近づいてくる。素晴らしい眺望である。藤十郎への登りの薮で足を取られアイゼンでスパッツを切る。トホホ・・・。
藤十郎山からは、御西岳が扇の様に広がって見える。その要を成しているのが飯豊川の本流だ。「平らに埋まっている部分がゴルジュで逃げ場がない」とCL。藤十郎山でアイゼンを外すようCLから指示がでる。藤十郎山から登路はやや北に振れる。正面に二ツ峰が聳える。
藤十郎山から二ツ峰までは胎内川と北股川の分水嶺を歩く。CLは雪の割れ具合、薮の状況を勘案してルートを採っていく。時々通過する支沢の源頭部は胎内川・北股川の両側とも恐怖を覚える程ではないがスッパリ切れていて何だか気持ちが良い。11時50分に二ツ峰の基部に到着。少し待ってサポート隊と定時交信を試みるが繋がらない。薮をつないで二ツ峰に立つ。幸い、鎖は出ている。半分くらいで切れているが特段問題ない。何とか無線が繋がりサポート隊が頼母木小屋に到着したようだ。これで私が担いできた2.5kg(ロープ)は幸いにも不要となった。二ツ峰から更に下り、門内岳への登り返し。標高差が概ね330m前後、直線の距離で1.2km前後。ここまで歩いてきた足に結構な登りだ。中にはガス欠をおこした人もいた。
15:10に門内岳に到着。一応、これでバリエーションルートとしての部分は終了だ。二王子を振り返ると長い縦走路が美しくウネっていた。門内岳は風が強く寒くて仕方ないので、門内小屋に逃げ込み合羽の上着だけを着る。ここまで来て何だか、無線の入りが悪い。多分、地神山の尾根が邪魔をしているのではないか?南西の風にヨロヨロしながら進み扇の地紙を通過して、地神山で無線が明瞭になる。(当たり前だが・・・)
地紙北峰を過ぎると、頼母木川から吹き上げる西の風で時々立ち止まりながら登り、頼母木山のお地蔵様に手を合わせて、ここまでの無事の御礼と明日の無事を願う。
17:15頼母木小屋に着いた。行動時間は11時間となっていた。
個人的には時間が長かったが疲労感は無く歩きやすかった。CLのペースのおかげだろうか。また私自身、今日一日体調が良かったという事だろう。
サポート隊4名と合流して、キンキンに冷えたビールをご馳走になる。8人分重かっただろうに。ありがとうございました。感謝感謝です。
OPLさんが途中でいっちゃん達とすれ違い、ヨロシクと言っていたゾ。とお聞きする。
OPLさん、GZFさんの話しでは、イリ平の中間よりやや下、上部の下で悪い形で雪が割れている。との事、イリ平での下山はどうかなあ?との状況報告があった。勿論、全員安全に下山する事が全てに最優先するので当然の意見と思う。中村さんの健脚ぶりも驚いた。随分沢山背負ったものだ。
1階は私達だけで2階に3名の1パーティー。やや、無理やり宴会に引き入れてしまい申し訳ありませんでした。
そして、中国4000年の呪いがCLを襲う。昨日皆さんどうにも杯の進まなかったマオタイ酒をCLがグビリ、グビリと飲っている。(想像するにこの時点でCLは西俣経由のルートと決めていたのではないか?)そう、CLはマオの呪いにかかったのだ。この夜、CLはその身をマオの呪いにその身を貸したのです。良く飲みました。良く歌いました。今日午後からの風は夜中も弱まることなく強く吹き続けていた。
平成18年5月5日 曇り薄日も射す。一時極弱いとおり雨。 西の風強く標高を下げ風弱まる。
一晩中吹いていた風で時々目を覚ます。04時30分やっと起きる。風は15m前後。用を足しに行くにも何かと気を使う。
マオの呪いに身を委ねたCLの身体からは生気が抜けていた。朝食を摂りながら本日の行動は、西俣ノ峰へ素直に降りる事を確認した。
後片付けをして外に出る。相変わらず頼母木川から吹き上げてくる風が強い。頼母木山を越して少し下がったところで合羽の上着を脱いで下山する。12人での下山。後ろから見ると大パーティーだ。これはかなり早く、梅花皮荘の風呂に入れるななどと思いながら時々振り返り、ホワイトアウトした時の為に地形の概念的なものを一生懸命目に焼き付ける。これは2月の二王子で苦労した際から特に意識するようになったことだ。
三匹穴のダケカンバを眺め上部を振り返る。いい場所だ。枯松山がいい形で見える。
雪庇に気をつけて下り西俣ノ峰。下から単独者が登ってくる。挨拶をしてすれ違う。ドンドン下っていくとまた、下から2人の登ってくる。なんと、DAEさんと友人の浅間さんだ。
DAEさんは、冷たい飲物を担いできてくれたのだ。飲物を頂き、十文字で待ちあわせる事としてDAEさん達は西俣ノ峰まで行くとの事で我々は十文字で予備食の御炊き上げとする。
またまた、円卓を作りお湯を作り棒ラーメンを作り、食料の残りをツマミにまたまた楽しい時間だ。途中小雨がパラついたが大事には至らず直に太陽が顔をだす。しかしこの場所もだんだん風が強くなってきた。やがてDAEさん2人が戻ってきて14人でワイワイとやらかす。
まだまだ、CLのマオの呪いは解けていなかった。飯豊も食事も十二分に堪能して急な西俣尾根を汗かきながら下山。梅花皮荘でゆっくりお風呂に入り休んで新発田に向かい集合場所に到着。CLより各自自宅まで気をつけて。と注意を頂き解散した。
本隊メンバー個々には、少しの身体的不調、薮にサングラスを取られたり、スパッツを切ったり、そのような小さな問題があったけれど、全体的には事故につながる様な事もなく安全に楽しく縦走する事ができました。CLをはじめ参加メンバーのお互いの思いやりで安全に楽しく縦走できたものと思います。
メンバーの皆さん、サポート隊、DAEさん、浅間さん、皆さん有難うございました。